2011年8月3日水曜日

第7回公開講座 「古墳時代の技術革新-考古学人生50年記念講演-」

3.11東日本大震災以来、名水の会は活動を休止しておりましたが、6月に総会を開催し、活動再開しました。
9月は、名水の会7回目の公開講座を開催します。
参加申し込みが必要です。
8月30日(火)までに電子メールにて、お名前、ご住所、電話番号、人数をお知らせ下さい。
●電子メール:meisui.keikan@gmail.com

古墳時代の技術革新-考古学人生50年記念講演-

講師:椚 國男氏(多摩考古学研究会世話人)
日時:2011年9月4日(日)14:00~17:00
会場:国分寺市立本多公民館ホール(裏面に地図)
会費:500円(資料代込み)
定員:60名先着順(要申し込み)
主催:国分寺・名水と歴史的景観を守る会 

◆前方後円墳の設計をめぐる椚説の概要◆
 椚さんは1960年代に6世紀頃の竪穴住居を発掘した際、四つの柱穴の正確な位置などから設計の存在を感じ、「竪穴住居の設計計画」を『考古学雑誌』に発表しました。
その翌年、民衆の住居に設計がある以上支配階級の建造物や築造物にもあるのではないかと考えて前方後円墳の設計研究に入り、多くの古墳の実測図を調べて方眼を使って設計し、3種類の設計型に大別できることなどの説に達し、それを1975年に『古墳の設計』(築地書館刊)にまとめました。
 さらに氏はその後約1700基の前方後円墳を調べて古墳時代の全国的状況を概観し、つづいて後円部側が正円でない出現期の纏向型前方後円墳の研究に入りました。そして、纏向型が日本列島のほぼ全域に分布していること、「方眼設計法」が中国漢代の「方格法」であったことに気づきました。
 方格=方眼は拡大相似形と縮小相似形を作図する媒体で地上に大きな方格をつくって測り縮小すると地図になり、小さな方格に設計図を書くと巨大な相似形物を地上につくることができることをその後の著書に書いています。そして方格法は2世紀の後半か3世紀の初めに渡来し、前方後円墳・前方後方墳・双方中円墳などの複合形古墳が出現したのもそのためであるとし、わが国古代の技術革新であったととらえています。
 前方後円墳の設計・企画論は10説以上ありますが、椚説は後円部を基にしない唯一の説であり、この技法や技術が弥生時代を古墳時代に変えた大きな原因であると主張しています。

 椚さんは考古学の世界にはいられてから今年で50年を迎えられました。今回それを記念して長年にわたる研究成果をもとに古墳時代の技術革新について語って頂きます。

■参加申し込み(必ず事前申し込みをしてください)
8月30日(火)までに電子メールにて、お名前、ご住所、電話番号、人数をお知らせ下さい。

閉会後同じ会場で希望者による懇親会を予定。懇親会費:2,000円
参加希望者はその旨明記を。
●電子メール:meisui.keikan@gmail.com

■椚國男さんプロフィール
1926年 東京都八王子市に生まれる
1939年 府立織染学校色染化学科に入学
1944年 商工省東京工業試験所に入所
1945年 五月入隊が九月に延びて、八月敗戦
1946年 春陽会展に「極楽寺境内の梅」入選
1949年 八王子市立第五中学校図工科教諭になる
1950年 明治大学文学部地歴科地理(二部)卒業 同期に大塚初重さん
1952年 都立八王子工業高校定時制社会科教諭になる
1961年 全日制勤務に移る。生徒の要望で考古学部をつくる
1976年 『古墳の設計』と文化財保護運動で第一回藤森栄一賞を受ける
1978年 勤務校の『百年史』の編集を終えて定年退職
1985年 稲城市史編集委員になる(弥生・古墳)
1990年 多摩考古学研究会世話人代表になる
2006年 「国史跡八王子城とオオタカを守る会」が第七回和島誠一団体賞を受賞

現在 多摩考古学研究会世話人、日本考古学協会会員、
ふだん記「八王子・雲の碑」グループ、「高尾山天狗裁判」原告団幹事、
国史跡八王子城とオオタカを守る会(前代表)

主な著書
『古墳の設計』(築地書館)
『古代の土木設計』(六興出版)
『戦国の終わりを告げた城―八王子城』(六興出版)
『方格法の渡来と複合形古墳の出現』(築地書館)
『土の巨人―考古学を拓いた人たち―』(たましん地域文化財団)他